大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和24新(れ)181 判決

主 文

本件各上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人等の連帯負担とする。

理 由

各被告人の弁護人島岡明上告趣意第一点について。

憲法は裁判の審級制度については同八一条の場合を除くの外立法を以て適当に定

めるところに委ねているものと解すべきことは当裁判所大法廷の判例とするところ

である。されば新刑訴が控訴審を覆審とせずに事後審としたからといつて、違憲の

問題は起らないし、またそれがために所論の量刑不当や採証違反の点について控訴

審の審理を受ける妨げともならない。そして、憲法三七条の公平な裁判所の迅速な

公開裁判とは裁判所の組織、構成の公正を保障したもので、覆審制度を保障したも

のでないことも当裁判所大法廷の判例の趣旨とするところである。それ故所論は採

ることができない。

同第二点について。

しかし原判決は記録を精査し各証拠に照して第一審判決の刑を相当としたもので

あること判示上明白である。さらば、所論はその前提において採用できない。しか

のみならず、憲法は裁判の対審及び判決を公開法廷で行うべき旨を保障したに止り、

その以外の訴訟手続を公開法廷で行へとはいつていない。そのことも既に当裁判所

大法廷の判例である。それ故所論は採ることができない。

同第三点について。

しかし、原審第二回公判調書によれば、原審の裁判長は被告人等に対し上訴期間

及び上訴申立書を差し出すべき裁判所を告知しており、そして、被告人等はいずれ

も既に期間内に適法な上告を申立てている。だから告知手続に違法も認められない

し、また論旨は本件上告に何等の影響もない全く無用の主張であるというべきであ

- 1 -

つて採るを得ない。

よつて、刑訴四〇八条、一八一条、一八二条に従い裁判官全員一致の意見で主文の

とおり判決する。

昭和二五年六月一日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 田 中 耕 太 郎

裁判官 沢 田 竹 治 郎

裁判官 斎 藤 悠 輔

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!